八重垣姫① ~ つばさがほしい

*当サイトはプロモーションを含みます

いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの現代にも通じる想いを
お伝えしていきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…

今回は、一途に想う恋心が奇跡を起こした「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」の
八重垣姫のお話です。

|三姫

歌舞伎に登場するお姫様は、赤色を基調にした衣裳を着ていることが多いので、「赤姫」と呼ばれます。
赤色には、華やかさや美しさ、そして高貴な身分を表す意味合いもありますが、ときには一途に想う恋心や
それゆえの激しい気性も表現しています。中には赤い地色ではない衣裳を着ているお姫様もいますが、
総称として「赤姫」と呼ばれています。
この赤姫の中で、特に演じるのが難しいとされているのが「三姫」と言われる「本朝廿四孝」の八重垣姫、
「鎌倉三代記」の時姫、「祇園祭礼信仰記」の雪姫です。お姫様のもつ優雅さや気品に加えて、たとえ窮地に
追い込まれたとしても想いを貫き通す内に秘めた強さを表現するのが難しいとされています。

東京都立図書館所蔵 守川周重作「鎌倉三代記」
https://archive.library.metro.tokyo.lg.jp/da/detail?tilcod=0000000003-00051904

東京都立図書館所蔵 初代歌川豊国作「祇園祭礼信仰記 」
https://archive.library.metro.tokyo.lg.jp/da/detail?tilcod=0000000003-00051646

|八重垣姫

三姫は3人とも、好きな人のためなら死んでもかまわない、家族を失ってもいい、という激しい気性を持って
います。ときには(演目によっては)、超常現象的奇跡を起こしてしまうほどの激しい情念も持ち合わせて
います。八重垣姫はどうだったのでしょう。

東京都立図書館所蔵 三世歌川豊国作「八重垣姫」
https://archive.library.metro.tokyo.lg.jp/da/detail?tilcod=0000000003-00017563

|キャラクター

八重垣姫は、この時代にはありがちですが、まだ一度も会ったこともない人と婚約させられます。けれども、
相手の肖像画を毎日見ているうちに本当に恋してしまうような純粋な心を持ったお姫様です。
そして、その許婚が事件に巻き込まれて亡くなったと聞くと立ち直れないほどの悲しみに暮れ嘆きます。
ところが、その許婚にそっくりな人に出会うと、亡くなったというのは何かの間違いで、目の前にいるこの人が
許婚なのではないか?と心動かされ、仲を取り持ってほしいと侍女に頼んだりする積極的で大胆なところも
あります。そして、その一途で純粋な想いが最終的には奇跡を起こす、とても情熱的な気性をも持ち合わせて
います。

|モデル

「本朝廿四孝」は、「甲陽軍鑑(こうようぐんかん)」という軍学書が原点になっています。舞台は戦国時代、
越後(現在の新潟)の上杉(長尾)謙信と、甲斐(現在の山梨)の武田信玄が国境を隔てて敵対していた頃の
お話です。詳しくは、またあらすじの回でお話しますが、室町幕府の将軍足利義晴は不仲だった
両家を和睦
させようと上杉謙信の息女、八重垣姫と武田信玄の息子、武田勝頼を許婚としたことから始まります。
ご存知の通り、上杉謙信、武田信玄、武田勝頼は実在する人物ですが、八重垣姫は実在しません。武田信玄の
六女で勝頼の異母妹にあたり、上杉謙信の息子、景勝の正室となった菊姫がモデルとされていますが、
定かではありません。

|名前の由来

「八重垣」という名前は、最高神、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の弟、素戔嗚尊(すさのおのみこと)
の古歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠めるみに 八重垣つくる その八重垣を」に由来するといわれて
います。お話のキーアイテムとなる諏訪法性兜(すわほっしょうのかぶと)の霊力の根源は、大国主命
(おおくにぬしのみこと)の子で諏訪明神の御祭神建御名方神(たけみなかたのかみ)によるものです。
つまり、素戔嗚尊の子孫の霊力になります。物語が展開する諏訪湖周辺をなぞらえて
名付けられたと考えられ
ます。

|最後に

いかがでしたか。誰かを一途に想う気持ちや、愛しい人にすぐにでも会いたい気持ち、大切な人のためなら
なりふり構わず行動できる気持ちはいつの世も変わらないですね。
凍った水面を渡るといった目に見える奇跡はなかなか起こらないかもしれませんが、一途に誰かを想う気持ちは
今日も世界中で小さな奇跡をたくさん起こしているかもしれません。
次回は「本朝廿四孝」についてお話しようと思います。

 

無料体験レッスンのお申し込みはこちら
https://www.miya-ds.com/trial_lesson

広報担当森川みよのブログ、Miyo no Gantenへのご意見、ご感想はこちら
https://www.miya-ds.com/blog_contact/

大田区にある日本舞踊と着物の教室、日本舞踊教室みやの公式ホームページ
https://www.miya-ds.com

美柳流の公式ホームページ
https://www.miyanagiryu.com

 

 

関連記事

  1. 寿曽我対面③ ~ 江戸のお正月

  2. 絵島④ ~ 「絵島生島事件」疑惑編

  3. 親子でお稽古