名大磯湯場対面② ~ 海水浴のはじまり

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いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの現代にも通じる想いを
お伝えしていきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…

今回は、日本での海水浴のはじまりのお話です。

|潮湯治(しおとうじ)

実は、日本ではかなり昔から海水浴のようなものは存在していました。
ただ、レジャーではなく、潮湯治(しおとうじ)という、海水に浸かって治療する、医療を目的
としたものでした。

|~江戸時代

平安時代には、すでに「浴み(あみ)」という呼び方で潮湯治らしきものが文献に登場しています。
また、鎌倉時代になると「方丈記」の作者としても有名な鴨長明が、現在の愛知県常滑市にある
大野海岸で行われていた潮湯治について詠んでいます。

生魚(なまいおみ)の 御あへもきよし 酒もよし 大野のゆあみ 日数かさねむ

新鮮な魚と美味しいお酒のせいで思いのほか大野での湯あみ(潮湯治)が長引いてしまった、
という内容で
潮湯治を思う存分満喫している様子が表現されています。
昔も今も変わらないですね。とっても親近感が湧いてきます。

|江戸~明治時代

江戸時代も潮湯治は行われていて、老廃物の排出、美肌効果、皮膚病や神経痛に効果があるといわれ、
温泉と同じような効能が期待されていました。二代将軍徳川秀忠も腫物を患った際に、大野の潮湯治を
利用して治療したといわれています。
このように、浸かって治療をしたり、海女さんが働いていたり、子供が水遊びをしたりしていて、
人々にとって海は身近な存在ではありましたが、江戸時代にはまだ「海水浴」という言葉はありません
でした。そして、明治時代になって、西洋医学を学んだ松本順が大磯に海水浴場を開設することと
なります。

|明治時代以降

前回お話しましたが、松本順が私財をつかって大プロモーションを行ったため、大磯の海水浴場は着実に
集客を増やし繁栄していきました。そうした流れの中で、海水浴に訪れる人々の目的は医療からレジャーへと
徐々に移り変わっていきます。
そして、鉄道の普及がさらに後押しとなって海水浴場は全国に開設されて
いきました。

当初の海水浴では、男性は褌、女性は腰巻きなどを身に着けていましたが、明治時代も中期以降になって
くると、ワンピースタイプの縞模様の水着が登場し、大流行します。この水着は、シマウマ水着と呼ばれ、
さまざまな縞模様の彩り豊かな水着がデザインされました。多くの芸妓さんたちをモデルにした絵葉書なども
発売され、モダンガールの象徴としてシマウマ水着ブームは大正時代まで続きました。

|海水浴法概説

この頃、提唱されていた海水浴は、病気を治癒して体を丈夫にするための海洋療法、いわゆるタラソテラピー
でした。松本順が記した「海水浴法概説」には、次のように書かれています。

・ 夏季の気温が22℃から28℃のときにする。
・ 体操の効能があり、また波が全身を揺らし、按摩と同じ効能もある。
・ 衛生上の観点から、日光に当たって遊泳する。
・ まずは1回30分までとして、12時間の間に2回から始め、徐々に回数を増やす。

このように、当時の海水浴は、泳ぐというよりも海で波に当たることが重要視されていて、海底に杭を
打ち込んで、それに捕まって波に揺られるというものでした。
現在のタラソテラピーは基本的に「海水入浴療法」「海藻療法」「海泥療法」の3つの療法に分かれています。
「海水浴法概説」に書かれている海水浴法は、この中で最も重要とされている「海水入療法」にあたり、
海水による浮力、抵抗、水圧などを利用した療法です。また、海水に含まれているミネラルなどの栄養素を
全身の皮膚から直接取り込むこともできます。ミネラルは、人間の体にとって欠かすことができない
5大栄養素の1つなので、体質を改善したりや体調を整えたりなど、様々な効能や効果が期待することができ、
定期的に海水入浴療法を行うことで、体のバランスを維持することができるとされています。

|最後に

いかがでしたか。タラソテラピーは、最近ではリラクゼーション、美容、ダイエット、ストレス解消などの
目的でも行われていて、注目が高まっています。本格的でなくてもゆったりと海に浮かんでいるだけでも
リラックス効果が期待できそうです。
この夏、海水浴には行かれましたか?

 

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