お芝居、映画、小説、そしてアニメ、漫画でも「食」のシーンって気になります。
無性に食べたくなって、お店を探してみたり、再現レシピで作ってみたり……
何十年も何百年も変わらない佇まいと味を訪ねてみようと思います。
ずっとずっと昔、同じ席で食べていた人たちも私たちと似たようなことを考えてたりして。
美味しいと目を細めた瞬間、タイムスリップ！なんてこともあるかも……
今回は、虎ノ門のそば処「虎ノ門 大坂屋 砂場」に行ってきました。
｜歴史
創業150年を超える「虎ノ門 大坂屋 砂場」は、1872年（明治5年）に創業しました。
｜創業
以前、「美味文化 ～ 室町砂場」でもお話しましたが、「砂場」という屋号は、豊臣秀吉が大坂城を
築いたときに資材の砂を置いていた場所に菓子屋「和泉屋」が蕎麦屋を開店し、そこが「砂場」と
呼ばれていたことに由来しています。その後、徳川家康が天下統一をした際に、江戸に下り「大坂屋砂場」
の営業が始まったといわれています。
「虎ノ門 大坂屋 砂場」は、1872年（明治5年）に、砂場本家「糀谷七丁目砂場藤吉」から暖簾分けされ、
旧大名家だった阿部家の敷地の一部を譲り受けて創業しています。初代は武家との親交が厚く、幕末から
明治時代初期にかけて活躍した「幕末の三舟」と呼ばれる山岡鉄舟、高橋泥舟、勝海舟にも贔屓にされて
いたといいます。現在の店舗は1923年（大正12年）に建てられたもので、建物は登録有形文化財にも指定
されています。
｜明治5年
「虎ノ門 大坂屋 砂場」が創業した1872年（明治5年）は、8月に日本初の近代的学校制度を定めた「学制」が
公布されました。フランスの制度を参考にして、国民すべてが学校教育を受けられることを目指したもの
でしたが、当時の社会情勢に合わなかったため、後に新しい「教育令」が公布されています。
11月には「改暦ノ布告」が出され、太陰暦から太陽暦（グレゴリオ暦）に移行しました。1年を365日として、
それを12月に分けて、4年毎に閏年をおくこと、1日を24時間とすることが定められました。これによって、
この年は12月2日が大晦日、翌日が1873年（明治6年）1月1日とされました。
また、前年に出された、男性が断髪（ざんぎり頭）にすることを奨励した「散髪脱刀令」に対し、女性が髪を
切ることを禁止する「女子断髪禁止令」が出されました。当時は、男性の断髪、洋服姿が文明開化のシンボル
とされ、新しい時代に変わっていく中での人々の様子や世相を描いた「ざんぎり頭をたたいてみれば文明開化
の音がする」という、この時代を歌った都々逸が大流行していました。この影響で、男性に続いて断髪する
女性たちが現れましたが、「長い黒髪こそ女性らしい姿」という価値観が日本人に広く浸透していたため、
世論が反発し、この法令が公布されました。しかしその後、日本髪は金銭的負担や衛生面での問題などから
しだいに衰退し、洋髪の影響を受けた束髪が流行します。そして、大正時代にかけてモダンガールに代表される
断髪の女性が増えていきました。
｜虎ノ門 大坂屋 砂場
｜季節のお蕎麦
蕎麦の汁は、「藪」は辛く、「更科」は甘く、「砂場」はその中間といわれています。
落語の小噺に登場する「汁は少しだけつけてたぐり込む」という江戸風のお蕎麦の食べ方は、「藪」の
辛い汁が念頭に置かれているといわれています。
「虎ノ門 大坂屋 砂場」は、食べる前から香る風味豊かな甘くも辛くもない汁で、食欲がそそられます。
また、「虎ノ門 大坂屋 砂場」は、迷ってしまうほどメニューが豊富で、季節のメニューも充実しています。
｜店舗情報
店名：虎ノ門 大坂屋 砂場
住所：東京都港区虎ノ門1丁目10-6
電話番号：03-3501-9661
アクセス：虎ノ門駅（東京メトロ銀座線）徒歩3分、霞ヶ関駅（東京メトロ日比谷線・丸ノ内線）徒歩5分
新橋駅（JR山手線・京浜東北線ほか）徒歩8分
「虎ノ門 大坂屋 砂場」
https://www.toranomon-sunaba.com/
｜最後に
いかがでしたか。
再開発が進む虎ノ門エリアを歩いているとビルの間に忽然と現れる「虎ノ門 大坂屋 砂場」は、
まるでそこだけ異空間のように感じます。扉をくぐると街の喧噪も忘れ、タイムスリップしたような
感覚に陥ります。ちょっとしたイマーシブダイニングが楽しめますよ……是非行ってみてくださいね。
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