きものコーデ ~ 美登利②

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物語に登場する人物の着物姿ってみんな魅力的。
特に明治、大正から昭和初期の文学作品は描写がとても繊細で、
着物も帯も小物も…そのひとつひとつにこだわりを感じます。
時代や背景は変わっても着物の着こなしの参考になること間違いなし!
作品を通して着物への想いが深まりますように……

前回に引き続き、樋口一葉作「たけくらべ」の主人公、美登利のコーデです。

|夏祭り

樋口一葉の作品は、登場人物の装いにこだわりをもって描かれています。「たけくらべ」もまた然り。
主人公の美登利も前回お話したほかにも着物の描写があります。
「たけくらべ」の時代は、日本髪の髪型がほとんどなので、衣紋をぬいて半衿をたっぷりと出した着付でした。
袖丈は全体的に長く、美登利は70cm弱位あったと思われます。
帯結びはお太鼓が多く、帯揚げと帯締めも
使っていました。

|水色友仙の凉しげに

単衣は水色友仙の凉しげに、白茶金らんの丸帶少し幅の狭いを結ばせて、庭石に下駄直すまで時は移りぬ。
「たけくらべ」より

これは、8月20日千束神社の祭りの夕方、美登利が夏の盛装で登場する場面です。
着ているのは、水色の友禅染、真夏なので絽縮緬(ろちりめん)だと思われます。描かれていませんが
秋草の模様でしょうか。帯は、白茶金らんの丸帯の少し幅の狭いものを締めています。夏らしくありませんが、
当時は夏も冬も帯の区別はありませんでした。区別がはっきりしてくるのは大正時代の頃からです。
今では、
夏帯として締められる博多帯も、この頃は昼夜帯(リバーシブルの帯)の片側でした。
この日の美登利は、おしゃれしたお嬢さんの装いです。

東京国立近代美術館所蔵 鏑木清方作 『苦楽』表紙原画 「たけくらべの美登利」
https://www.momat.go.jp/collection/j00832-017

|透綾のあら縞

ねへ美登利さん今度一処に写真を取らないか、我(お)れは祭りの時の姿(なり)で、お前は透綾(すきや)の
あら縞で意気な形(なり)をして、水道尻の加藤でうつさう
「たけくらべ」より

正太郎の喧嘩相手に侮辱されて、落ち込んでいる美登利を元気づけようと、おしゃれして写真を撮りに行こうと
正太郎が美登利に言う場面です。

あら縞は、目の粗い縞模様で派手な感じの柄です。透綾は、薄くさらりとした絹織物で、蝉の羽のような薄い
裂地で軽いので真夏の着物として重宝されていました。絹糸と苧麻(ちょま)で作られていましたが、今では
絹糸だけで作られるようになり少し
風合いが変わりました。
好きな人に粋で大人っぽい着物を着せたいという正太郎の想いがあります。色街で育ったからなのでしょうか
13歳にしてはおませな子供です。

鏑木清方記念美術館所蔵 鏑木清方作 紙本墨画・裏打ち「たけくらべ(つり忍)」
http://www.kamakura-arts.or.jp/kaburaki/collection/tsurishinobu02.html

|最後に

いかがでしたか。「たけくらべ」には美登利以外の子供たち、信如や正太郎、正太郎の喧嘩相手の長吉の装いも
細かく描写されています。
そして、彼らの装いにも親の仕事や性格が暗示されています。
装いにも注目して読んでみると別な面白さが発見できるかもしれません。

 

 

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