静御前② ~ 出逢い

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いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの現代にも通じる想いを
お伝えしていきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…

今回は、静御前の生い立ちと源義経の出逢いのお話です。

|白拍子(しらびょうし)

静御前の生没年はわかっていません。
ただ、京丹後市に残る伝承では、網野町磯(現在の京都府京丹後市)の漁村で禅師の娘として生まれたと
されていて、父親が亡くなると、母親とともに京都に上がり、白拍子として有名だった母親の跡を継いで
白拍子になったと伝わっています。
鎌倉時代に成立した歴史書「吾妻鏡」にも、静御前の母親は、白拍子の磯禅師(いそのぜんじ)だったと
記載されています。

|白拍子という職業

白拍子は、烏帽子(えぼし)と水干(すいかん)を纏い、太刀を腰に身に付けた男装で、今様(いまよう)と
呼ばれる七五調の歌を謡って舞う女性芸能者です。この舞は、白拍子舞ともいわれ、平安時代後期に生まれ、
鎌倉時代まで流行しました。謡いながら足で拍子をとる男性的な舞が人気だったと考えられています。
白拍子を舞う女性たちは高貴な家に招かれることも多かったので見識が高く、貴人に愛される白拍子も現れ、
授かった子供が跡取りになることもあったようです。貴人の宴席で華を添えていた白拍子たちが身分の異なる
貴人に見初められることは決して珍しいことではなかったのです。幸せな結婚、出産をして引退する者も、
現役を続ける者もいて、引退後には指導を行う者もいました。

|磯禅師

静御前の母親、磯禅師(いそのぜんじ)は、礒野禅尼(いそのぜんに)とも呼ばれ、大和国磯野(現在の
奈良県大和高田市磯野)の生まれです。一説によると、信西(藤原通憲:みちのり)が烏帽子、水干の姿で
磯禅師に舞を舞わせたのが白拍子の起源ともいわれています。磯禅師は、白拍子の派遣を行なっていたとも
されていて、多くの舞女(まいひめ)を抱えていました。娘の静御前に舞と歌を教えたのももちろん磯禅師
です。

|出逢い

静御前は、京の都で評判の白拍子でした。
「義経記」によると、1182年は100日も日照りが続き、賀茂川や桂川の水が流れなくなり、井戸の水も
絶えてしまったといいます。慣例に従って高僧たちが神泉苑(しんせんえん:現在の京都市中央区)の池で
経典を唱えましたが、水や天候を司る守護神の八大龍王は願いを聞き入れてくれませんでした。
そこで、後白河法皇は、容貌が美しい白拍子100人を集め、舞わせて雨を祈らせますが、99人が舞い終えても、
何の変化も見られませんでした。ところが、最後のひとりとなった静御前が舞うと、山々から黒雲が湧き
あがり、八大龍王が現れ稲妻が光り、3日間も雨が降り続いたといいます。法皇は静御前の舞に「日本一」の
宣旨を与え、感嘆したと伝えられています。その後、住吉神社(現在の京都市下京区)で静御前が雨乞いの
ために舞っている姿を見物していた源義経は、誰もが振り返るほど美人だった静御前にひと目惚れして、
自身の側室として召し抱えることにしたといわれています。
この逸話が描かれている「義経記」は、源義経とその家臣たちについて描かれた軍記物語で、室町時代前期に
成立したと考えられていますが、その具体的な時期や作者についてはわかっていません。
そのため、この逸話もフィクションの可能性もありますが、このような伝説が残るほど静御前は見目麗しく、
白拍子としてもトップクラスの実力を持っている女性であったことがわかります。

大英博物館所蔵 歌川国芳作 「静御前/十賢女扇」
https://www.britishmuseum.org/collection/object/A_2008-3037-16101

 

|最後に

いかがでしたか。
静御前は、常盤御前(ときわごぜん)、巴御前(ともえごぜん)とともに源平三美人といわれています。
このうちの1人、常盤御前は源義経の母親です。その血を引く義経と静御前は美男美女のカップルで、
とても仲睦まじかったそうです。そんな2人に一体なにが起こったのでしょうか。
次回は、2人の別れのお話です。

 

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