修行心得① ~ 利休道歌

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日本舞踊教室みやと美柳流の広報を担当している森川みよです。
今回は、「修業心得」のお話です。

|修業心得

私たちの日本舞踊教室みやは70年以上の歴史がある美柳流直営の日本舞踊教室です。
美柳流は、1948年 初代宗家 美柳みゆきが老若男女誰にでも親しまれる日本舞踊を目指して創流しました。
茶道の裏千家にも精通していた初代宗家は、創流の際に「利休道歌」より6首を抜粋して「修業心得」と
しました。

|利休道歌

「利休道歌」は、戦国時代から安土桃山時代活躍した茶人、千利休が茶道の精神や点前の心得や具体的な
道具の使い方などをわかりやすく和歌の形式にして100首集めたといわれるもので、「利休百首」とも
呼ばれています。
実際には、利休が100首全てを詠んだわけではなく後世にまとめられたもので、100首揃っているものや
そうでないものなど色々なものが存在します。現在では、江戸時代後期の天保年間に、裏千家十一代家元
玄々斎精中宗室(げんげんさいせいちゅうそうしつ)が「咄々斎(とつとつさい)」を建築した際に
「法護普須磨(ほごぶすま)」と称して、点前や道具のことを書き連ねた最後に「利休教諭詠百首」として
まとめた100首と、その後利休が詠んだと推測される2首が加わった102首が広く伝わっています。

|わび茶

日本では、お茶の歴史は奈良時代に始まったといわれています。「わび茶」は、室町時代に村田珠光が、
禅などの精神を取り入れた「草庵茶」という茶の湯の様式を始めたのが原型だといわれています。
その後、武野紹鴎がより簡素化して発展させ、安土桃山時代に千利休が「わび茶」を完成させました。
それまでの茶の湯は「書院茶」と呼ばれ、高価な調度品で豪華に飾り付け、賑やかな宴席で行われるもので、
お金をかけることを重視していました。それに対し、「わび茶」は、人と人との心の交流とおもてなしを
重視し、足りないものを美しいと思う
「不足の美」を求める茶の湯で、この作法は千利休の子孫の三千家
(表千家、裏千家、武者小路千家)に受け継がれています。
ちなみに、「わび茶」ということばは江戸時代に生まれました。自己を省みて心の平静を求める「わび茶」の
精神は武士道にも共通するものがあり、茶道として確立されて広まっていきました。

|千利休

「わび茶」を完成させ、「利休道歌」を残した千利休とはどんな人物だったのでしょうか。

|名の由来

「利休」という名前は、禁中茶会に町人の身分では参内できないので、正親町天皇から与えられた号ですが、
晩年のことだったので、利休は茶人としての人生のほとんどを「宗易(そうえき)」という名で送っています。
号の由来は、名誉や材に執着しないという意味の「名利、既に休す」とされていましたが、現在では、才能に
執着せず謙虚な姿勢で物事を進めよという意味の「利心、休せよ」ではないかと考えられています。

|生涯

千利休は、和泉国堺(現在の大阪府堺市)で塩魚を扱う商家か倉庫を貸す問丸だった「魚屋(ととや)」に
生まれ、17歳から商人の教養として茶の湯を習い始めました。20代で結婚し、40代後半になるまで家業に
打ち込み、富を築きました。
その後、織田信長が天下人となり堺を直轄地とすると
、利休は茶頭のひとりとして召し抱えられます。
信長は、茶の湯を武家の儀礼として位置づけて政治的な交渉や権力誇示に利用する「御茶湯御政道」を
推し進めていたので
、利休は茶の湯における有力な協力者としてその地位を高めていき、信長からも
一目置かれる存在でした。
本能寺の変の後も
、次の天下人となった豊臣秀吉の茶頭を務め、黄金の茶室の設計や北野大茶湯の主管
などを行いました。秀吉の政事にも関わり、聚楽第内に屋敷を構え、3,000石を賜わるなど、茶人として
名声と権威を誇りました。ところが、秀吉の逆鱗に触れたことで切腹を命じられ、70歳で生涯を終える
ことになります。しかし、なぜ秀吉が切腹を命じたかについては諸説あり、真相はわかっていません。
最も有力視されているのが、京都大徳寺三門(金毛閣)の改修にまつわる説です。利休は、この改修に
多額の資金援助をしていたため、大徳寺の住職は利休への感謝の気持ちとして、雪駄を履いた利休の木像を
楼門の2階に設置しました。これでは、門を通る者は利休の足下をくぐることになると秀吉の怒りをかった、
というものです。しかし、実際のところ理由ははっきりしておらず、最近では切腹はせずに九州で晩年を
暮らしたという説も出てきています。

|最後に

いかがでしたか。
玄々斎は「法護普須磨」の最後に「以心伝心教外別伝不立文字 拍は鳴る敲は響く鉦の躰」と自作の句を
添えています。「教えとは、言葉や文字ではなく心で伝えるものである。この身は拍てば鳴り、敲けば響く
鐘のようなものである」と。茶の湯と向き合う精神は、現代の私たちの生活にも通じるものが多くあります。
次回から、美柳流初代宗家が「修業心得」として抜粋した6首をご紹介していきたいと思います。

 

 

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