娘七草① ~ 曽我物

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いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの現代にも通じる想いをお伝え
していきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…

今回は、新春ということで「曽我物」とその中から長唄「春調娘七草(はるのしらべむすめななくさ)」
のお話です。

|お正月と曽我物

江戸時代、お正月の歌舞伎狂言では、上方(京都、大坂)は「傾城物」、江戸は「曽我物」を上演する
のが吉例となってました。

|曽我物

鎌倉時代、領地争いがきっかけで河津祐泰(かわづ すけやす)が工藤祐経(くどう すけつね)に殺害され
ました。そして、祐泰の息子たち、曽我十郎、五郎兄弟が、18年もの苦難の末に父親の仇を討ちます。
これを題材にして書かれたのが「曽我物語」です。兄弟が曽我の姓を名乗るのは、父親が亡くなった後に
養父となった曽我祐信(そがの すけのぶ)に由来しています。
そして、この「曽我物語」を題材に、能、幸若舞、浄瑠璃、歌舞伎といった舞台芸術の分野で
数多くの作品
が誕生しました。その作品を総称して「曽我物」と呼びます。
「曽我物語」は、浮世絵の画材としても人気があり、多くの作品が残されています。
仇討ちの物語から派生した「曽我物」は、舞台芸術から美術、文学にいたるまで様々な分野でアレンジされ、
長い間日本人に愛され続けています。

|初春狂言

江戸時代、「曽我物語」はいつしか御霊信仰(ごりょうしんこう)と結びつき、曽我兄弟を新春に神として
鎮撫して御代安泰を願うようになっていきました。また、仇討ちという本懐を遂げる物語を新春に上演する
ことが、その年の成無事や成果を前もってお祝いする予祝の意味合いもありました。
こうした背景から、江戸のお正月の歌舞伎狂言では「曽我物」が毎年のように上演されるようになりました。
そして、新春興行の「曽我物」が大当たりしてロングランになると、それを祝った「曽我祭」が仇討ちをした
5月28日の前後に行われました。「曽我祭」は、楽屋に芝居の守護神として祀られていた「曽我荒人神」に
大入御礼の感謝の意を込めた祭礼で、楽屋で行われる内輪の行事でした。
ところが、1753年に中村座の初春興行が大当たりして舞台で祭礼を披露したのがきっかけとなり、それ以後は
舞台で披露するのが江戸三座の慣例になりました。仕切場(芝居小屋の会計場)に神輿を飾り、幕間には神楽を
演奏し、大切(おおぎり)にはオールキャストで華やかに踊りました。また、公演終了後には酒宴が催され、
それが終わると市中を練り歩き、余興を演じました。
豪華で賑やかな「曽我祭」は、江戸庶民にとって人気役者を間近で見ることができる楽しいイベントでしたが、
その一方で、華美になり過ぎた演出は幕府の弾圧の対象でもありました。
それでも「曽我祭」は文政年間頃(1818~1830年)まで続けられました。

|春調娘七草

毎年、江戸の初春狂言には欠かせなかった「曽我物」には数多くの作品が生まれました。長唄「春調娘七草」
もそのひとつで、「曽我物」の世界観に、1月7日の人日の節句に行われる春の七草の行事を織り込んだ、
とてもおめでたい曲です。
初演は1767年中村座で、「初商大見世曽我(はつあきないおおみせそが)」のなかで演じられました。
作曲者は二代目杵屋六三郎で、まな板で七草を叩くところを拍子の合方として取り入れている軽快な曲で、
うららかな早春の気配を感じることができます。
梅の花が咲く早春、曽我十郎と五郎の兄弟は、源頼朝に重臣として仕える工藤祐経の屋敷を訪ねます。
祐経は、兄弟の父親を討った仇で、2人は父親の仇を目の前に勢い込みますが、居合わせた静御前に諫められ、
兄弟は鼓を、静御前は七草を打つ、というストーリーです。
歴史的には、曽我兄弟と静御前には接点はありません。ただ、父親を殺害された曽我兄弟、恋人の源義経を殺害
された静御前には討ちたい仇がいるという共通点があります。それぞれ鼓と七草を「打つ」には、仇を「討つ」
が掛けられているのです。
また、歌舞伎狂言きっての大人気キャラクター、曽我兄弟と静御前の美しさの共演もみどころのひとつです。
史実を度外視する自由度には驚かされますが、その柔軟な発想が多くの名作を生み出したことに間違いはないのです。

|最後に

いかがでしたか。
お正月と「曽我物」については「寿曽我対面③ ~ 江戸のお正月」でもお話していますので、そちらも読んで
いただけたら嬉しいです。
次回は、「春調娘七草」にも登場する春の七草についてのお話です。

 

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