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いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの現代にも通じる想いを
お伝えしていきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…
今回は、辰姫が登場する狂言「大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)」のお話です。
|大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)
「大商蛭子島」は、初代桜田治助、増山金八らが描いた、4幕からなる時代物で、1784年11月、江戸中村座の
顔見世狂言として初演されています。
1159年の平治の乱に敗れた源義朝の嫡男、頼朝が流された伊豆を舞台に、曽我兄弟の仇討ちと頼朝の旗揚げ
までの物語を合わせたストーリーです。平安時代末期、関東地方の有力な豪族たちにとって、いまにも挙兵
しそうな頼朝も父親の敵討ちを狙っている曽我兄弟も気になる存在だったに違いなく、その辺りのお話です。
ただ、現在では、前半の曽我兄弟の部分はほとんど上演されず、後半の頼朝の挙兵に関係する物語が
よく上演されています。今回のテーマ、辰姫が登場するのも後半のお話です。
|正木幸左衛門内(まさきこうざえもんうち)~ 源氏旗揚げ
舞台は、伊豆下田の村にある、正木幸左衛門が営んでいる寺子屋、手習い指南所で、今日は雪が降っています。
ただ、この狂言は、登場人物がかなり飛躍した設定になっているので、少しわかりにくいかもしれません。
|キャラクター
主な登場人物は、正木幸左衛門(実は、源頼朝)、その女房おふじ(実は、伊藤祐親の娘、辰姫)、
おます(実は、北条時政の娘、政子)です。
ここまでの流れで、おふじの父親は、この辺りの有力者で、主人公の正木幸左衛門はおふじと駆け落ちを
して逃げています。ちなみに、おふじの父親の伊藤祐親は曽我兄弟の祖父にあたります。
おふじはとても嫉妬深い女性なのですが、正木幸左衛門の寺子屋に通うのは、なぜか年頃の娘ばかりで、
当の幸左衛門はかなりの好色です。生徒たちひとりひとりの手を取って教えたり、口説いたりしています。
そんな様子に、おふじは嫉妬心を燃やさずにはいられない、そんな状況です。
|あらすじ
ある日、正木幸左衛門の寺子屋に美しい姉妹が入門したいと訪ねてきます。姉は、源氏方の娘、清滝姫で、
妹のおますは北条政子です。タイミング悪く幸左衛門は留守だったため、嫉妬深い女房のおふじは、
こんなに美しい娘たちが入門してきたら困ると追い返してしまいます。ところが、なんとしても幸左衛門に
会いたい姉妹は、身を隠して帰りを待つことにします。
さて、幸左衛門が帰ってきて手習い指南を始めると片っ端から生徒の娘たちを口説いていきます。
それを見ておふじは気が気じゃありません。ようやく娘たちが帰ると、幸左衛門は嫉妬して不機嫌になっている
おふじをなだめ始めます。
そこへ、乞食坊主の清左衛門(せいざえもん)が訪ねてきて雪が降っているから一晩泊めてほしいと
言います。実は、この乞食坊主の清左衛門は文覚上人(もんがくしょうにん)で、頼朝の父の髑髏を持って
きていて、頼朝に挙兵を促しにきていたのです。
また、幸左衛門の帰りを待っていた姉妹は、こっそり中へと入ります。妹のおますは、父親の北条時政に
言われて「必要なときには力を貸す」という証の、北条家家宝の三鱗(みつうろこ)を持ってきていますが、
暗闇の中で間違えて乞食坊主の清左衛門に渡してしまいます。乞食坊主の清左衛門は、煮え切らない態度の
幸左衛門に腹を立てて、三鱗と義朝の髑髏を投げつけ、幸左衛門は挙兵を決心する急展開になります。
そして、すべてを知ったおふじは、平家討伐という夫の心願を叶えるため、北条家と協力関係を築けるよう
身を引いて、妻の座をおますに譲ることにします。そして、正木幸左衛門、実は源頼朝は平家打倒に向けて
挙兵することになります。
*狂言「大商蛭子島」では「伊藤祐親」ですが、モデルとなった実在する伊豆国の豪族は「伊東祐親」です。
|最後に
いかがでしたか。
「大商蛭子島」は、おおまかな流れは史実に合ってはいるのですが、なぜ正木幸左衛門(実は、源頼朝)を
好色にしたのか、おふじ(実は、辰姫)を嫉妬深く描いたのか、とても不思議に思います。
また、この寺子屋に通う年頃の娘に、人気狂言の「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」のお半や
「新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)」のお染の名前が登場しています。どちらも心中物で、お半は伊勢参り
の帰りに長右衛門と、お染は使用人の久松と恋仲になるお話です。もちろん、好色な幸左衛門は2人のことも
口説いています。
次回は、この「大商蛭子島」のクライマックス「幸左衛門内奥座敷の場 黒髪」のお話です。
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