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いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの現代にも通じる想いを
お伝えしていきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…
今回は、花川戸助六の恋人、吉原一の人気の花魁、三浦屋揚巻のお話です。
|三浦屋 揚巻
揚巻は、日本舞踊の「助六」には登場しませんが、凛としたとても素敵な女性です。
三浦屋抱えの遊女の中でも最高位の傾城(けいせい)と呼ばれ、見た目の美しさだけでなく、教養と品位も
兼ね備えた吉原で1番人気のある花魁です。
|花魁道中
揚巻は、花道から花魁道中で登場します。全盛を誇る吉原一の花魁、揚巻の衣裳はとても絢爛豪華です。
髪には、簪(かんざし)や笄(こうがい)、櫛(くし)などの髪飾りをびっしりとつけ、高さ20cm以上の
三枚歯の高下駄を履いています。そして、豪華な刺繍の施された打掛を纏い、身体の正面に長く垂らした
俎板帯(まないたおび)をしています。ちなみに、揚巻の衣裳の総重量は30kg以上、高下駄だけでも3kgも
あります。
国立国会図書館デジタルコレクションより 歌川豊国作 「三浦屋揚巻・三浦屋若紫・三うら屋白玉」
https://dl.ndl.go.jp/pid/1301797
|五節句
揚巻の身に着けている打掛と俎板帯には五節句にちなんだ模様があしらわれています。
まず、花道から花魁道中で登場する場面では、黒く染められた光沢のある繻子(しゅす)という生地に
門松に橙とゆずり葉、羽子板、金銀の御幣(ごへい)、伊勢海老をあしらった打掛で、お正月の最後の日に
あたる1月7日の「人日(じんじつ)の節句」をモチーフにしています。
この黒い打掛の下には、艶やかな緋色(濃い赤色)の打掛を纏っていて、3月3日の「上巳(じょうし)の
節句」に宮中で行われた行事をモチーフにした桜と火焔太鼓(かえんだいこ)、幔幕(まんまく)の模様が
ほどこされています。そして、花魁道中時の正装とされていた俎板帯には5月5日の「端午の節句」をモチーフ
にした鯉の滝登りが描かれています。
一度、三浦屋の奥へ入ってから、助六の母親、満江を見送りに出てくる場面では、7月7日の「七夕の節句」を
モチーフにした短冊模様の俎板帯で登場します。
9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句」をモチーフにした金銀の菊の花模様の打掛は、揚巻の朋輩の花魁、
白玉が身に着けています。また、最近ではあまり上演されない「水入りの場」で揚巻が身に着けるのも菊模様
の衣裳です。
ボストン美術館所蔵 和泉屋市兵衛作「三浦屋揚巻 揚巻の助六(八代目市川団十郎) 三うら屋白玉」
https://collections.mfa.org/objects/486691
|悪態の初音
吉原随一の傾城、揚巻は貫禄も兼ね備えています。自分に好意を寄せている、お大尽と呼ばれている髭の意休が
恋人の助六の悪口を揚巻の前で言い始めると「この揚巻が悪態の初音(これから憎まれ口をききますよ)」と
わざわざ断った上で、恋人助六と髭の意休を比べて悪口を言いたい放題、胸のすくような啖呵を切ります。
とはいえ、髭の意休はお客であるまえにお侍です。目の前で悪態をつけば斬られても仕方がないのを覚悟の上で
「間夫(まぶ:恋人)が無ければ女郎は闇」、「殺されても、助六さんのことは思い切れぬ」と言い切ります。
大好きな助六への気持ちを真っ直ぐに告げ、どんなにお金を積まれても気に入らないお客は撥ね付ける姿は
凛としています。
|最後に
いかがでしたか。前回お話した、江戸一番のいい男「助六」と吉原一の花魁「揚巻」は、まさに絵になる
お似合いのカップルです。
これだけ長い期間人気演目であり続けている助六のお芝居にはいろいろなエピソードがあります。
次回は、そんなエピソードをお話しようと思います。
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